木のはなし
日本の木について学んでみませんか?
日本の森林率は国土の67%を占めていて、日本の木材需要のうち80%輸入に頼っています。日本列島は森の島々ということになりますが、木材の供給に関しては海外に頼っているということが歴然とわかります。但し、人工の多い日本においては一人あたりの森林面積は0.2haしかなく、カナダの16.9ha、アメリカの1.14haと比較するとかなり少ない数値になります。
「自然から遠くなると病気に近くなる」と提唱するお医者さんをテレビで見たことがあります。療養するのには、自然が豊富な環境のほうが適しているでしょうし、健康でも癒しや休養のために、海や山を訪れる人も多いでしょう。家でも同じことが言えます。健康的であって、癒される空間でありたいものです。できれば健康に害を与えない自然素材で家をつくりたい人は多いのではないでしょうか。自然素材の代表的な素材として「水」があります。木でも日本で家を建てるのですからできれば日本の木の方がいいでしょう。
日本の木で家をつくるのには、「コストが高い」、「反りや割れが心配」、「デザインがあかぬけない」等といった理由で、選択肢から外してしまうというケースが多いかと思います。現在、荒れた日本の山を何とかしようという動きは全国的にみられ、林業家たちが立ち上り、良質な材料ができるだけ安価で提供されるようになってきています。「節があってもいいじゃないか」と、従来は捨て置かれていた節のある部分を積極的に製品化し、その分安価で良質な無垢材を提供しようという動きや、人工乾燥の技術を導入し、反りや割れ、狂いの少ない材料の供給に努める業者も出てきています。日本の木を使った日本人の家を、現代にマッチしたデザインで提案する設計家も増えてきました。少し視点を変え少し木のことを勉強することで、健康的で快適な日本人のための、日本の木を使った家造りは可能になります。
木は炭素の貯蔵庫
木は大気中から二酸化炭素を吸収し、太陽エネルギーの光合成によって樹幹内にセルロースやリグニンといった炭素化合物として固定しています。このことは伐採された後も続き、新たに二酸化炭素を吸収することはありませんが、燃やさない限り炭素を固定し続けています。つまり木材は、木造住宅となっても依然として炭素がそこに固定されたままストックされていることになります。
木材はエコロジカルな素材
木材は他の建築資材と比べると、それをつくりだすためのエネルギーは桁違いに少なくて済みます。伐採、乾燥、運搬にはエネルギーを使いますが木の生長には太陽エネルギー以外はいりません。他の建築資材をつくるのに必要なエネルギーは化石燃料などを燃やすことによって得られます。化石料を燃やせば二酸化炭素を大気中に放出していることになります。木材を燃やしたときも二酸化炭素と水を発生しますが、これは振り出しに戻ったということで、石炭のように亜硫酸ガスを発生するという問題は少ないといえます。木材のエコロジカルな資源としての特徴は、第一に、樹木は大気中の二酸化炭素を吸収し、太陽エネルギーによって樹幹を生長させて内部に炭素を固定し、さらに木造住宅などになって炭素を貯蔵する。第二に木材は製造エネルギーが極めて少ない建築資材であり、二酸化炭素の放出が少ない。第三に最終段階で木材を燃焼させたときにも、そのエネルギーを燃料として活用できる。ということです。
木材の中の水
木は親水性があって中に水分を含んでいますが、それには自由水と結合水の二種類があります。自由水は木の細胞の空隙に埋まった水で、木材組織の間にあるただの液体で木の本質には関係ありません。結合水は木材としっかり結びついているのでこの水の出入で木が伸び縮みすることになります。木は伐採するとまず自由水が減っても重量が変化するだけで寸法変化は起こしません。さらに乾燥が進むと自由水がなくなり結合水の領域になります。ここで収縮という寸法変化が生じます。樹種によって違いますが、一般的には含水率30%を割ってだんだん乾いてくると強度は上がってきます。特殊な場合を除けば、30%以下で寸法も収縮してきます。このとき、表面の寸法だけが変化して中がまだ濡れている状態のときは、表面が引っ張られる形になるので割れやすくなります。表面だけを急激に乾かすと割れやすいのはこのことです。
含水率とは
木材の含水率は、完全に乾燥して水分を含まない木材を100としてそれに水分が10加わった状態を10%といいます。つまり、ある状態に置かれている時の重量をW、それを完全に乾燥した時の重量をWOとすると、含まれていた水の量は(W-WO)ですから、これをWOで割って数値を百分率で表したのが含水率です。
含水率=(W-WO)÷WO×100
例えば水分と木材が半々の時は50%ではなく、(100-50)÷50×100で100%になります。ちなみに杉の生材の含水率は、200%を越えるほどだといわれています。木材は一定の温度と湿度のもとに放置しておくと、含水率はあるところで平衝状態に達します。例えば、温度20℃、湿度65%のとき、木材の含水率12%で安定します。これを平衝含水率といい、温度と湿度によってこの数値は違ってきます。つまり、湿気てくると木材は水分を吸い、乾くと水分を放出して平衝含水率になるように自分のバランスをとろうとします。これが調湿作用ということになります。
木材の調湿性能と伸び縮み
含水率が減れば木材の寸法は縮み、増えれば伸びます。一般的に建築材料として使われている木材の含水率はだいたい15%あたりで平衝状態になっていて、その前後を行ったり来たりしています。雨の日は少し含水率が増え、乾いた日は逆に減ってくる。つまり伸び縮みもしていることになるのですが、吸放湿性があるということですから、短所であるとともに長所でもあります。ここで知っておかなくてはならないのは、木の家で考えた場合、木材が水分を吸ったままの状態にしておいてはいけないということです。乾かさないと水分を蓄積してやがて腐食などの問題が起きます。木材が水分を吸ったり吐き出したりする状況をつくることが住い方の知恵になります。日常の窓の開け閉めなどちょっとした心配りが重要になります。昔の大工さんは、含水率の高い材料を使うときには、棟上げが終わってもすぐには仕上げをしないで、数ヶ月放っておきました。その間に木を十分乾燥させていたのです。現代はそうした時間をとることがなかなか難しいので、前もって乾燥させた木材を使うようになっています。
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