「木」のマメ知識

ヒノキ・自然素材

耐久性に富み、特有の香りを放つヒノキ

ヒノキの名前は、「火の木」つまり火起こしに使う木に由来するそうです。火を起こせるほど内部までよく乾燥し、狂いも生じにくいという特性を持ち、古くから建築に用いられてきました。「木曽ヒノキ」で有名な長野県木曽地方では江戸時代から森林保護が行なわれており、天然林のヒノキは高価な銘木です。戦後、ヒノキもスギと同様に拡大造林され、産地銘柄としては奈良県吉野などが知られています。針葉樹の中では成長が遅く、同じ樹齢のスギよりも伐採時期が遅いため、どうしてもスギよりも割高になります。木口をみると芯材と辺材の差があまり目立たない、控えめな表情をしています。辺材は黄色っぽい白色で、芯材は淡い桃色をしています。耐久性に優れたヒノキは家の各所に用いられますが、特に建物の寿命に影響する柱や土台に最適です。虫がつきにくい成分を含み、芯材は耐久性の高さでも知られています。

白く美しく、そして強い

ヒノキは、その白くて光沢のある木肌が神を祭るのに相応しい清浄感を醸し出しているため、神社仏閣に広く使われてきました。日本書記の神代の巻に書かれたスサノオノミコトの説話にも「ヒノキは宮をつくる木に良い」と書かれています。神社仏閣は、長い年月持たせることが重要なので、耐久性に優れたヒノキが大切にされたわけです。実際、ヒノキの芯材部分は、白蟻に対してとても強いことが知られています。世界文化遺産の法隆寺を1300年支えてきた実績からしても、日本を代表する木で、世界にも誇れる木であることは間違いありません。

各地で手に入る、手頃な価格の良材

古くから日本人が身近な素材として有用してきたスギは、生長が早いことから、戦後各地で大量の植林が行なわれ、現在は九州や四国など南から成熟期を迎えています。スギの名は「直ぐ」「直ぐなる」からきているともいわれるように、ほぼ円形の樹幹が大地からまっすぐに伸びます。その素直さが表れた木目は、早材と晩材の差が明快で、やわらかい木肌は加工がしやすいのが利点です。芯材と辺材の差がはっきりしていて、辺材は淡い黄色を、芯材は濃い桃色をしたものが多く、源平と呼ばれる赤身と白太が模様になった材もとれます。ヒノキに比べてやわらかなスギは、以前は柱に使えても梁にはたわむので使えないと考えられていました。しかし、徳島では昔から「スギ普請」の堅牢な家があり、地元では、15年前から木頭スギの曲げに対する強度を化学的に調査。そして70年以上の木を用いれば、重い瓦葺であっても梁材としての強度が十分であると確かめられました。こうした調査は各県でも行なっており、強度の確かなスギは、柱や梁など全ての構造材に、床板や天井材などの内装材、建具材にまるごと利用できます。ただし、土台だけは、ヒノキやクリ、ヒバなどのかたい材が向き、スギの場合には、必ず赤身の芯持ち材を用います。

スギは木目が「売り」

スギは赤身と白太がはっきりした木で、とる部分によっていろいろな表情の木材が取れます。同じ赤身と呼ばれている部分でも黒っぽいところや、茶色っぽいところや、サーモンピンクやオレンジ色や赤黒いところがあります。また、年輪がはっきりしており「スギは木目が売り」といわれます。柾目と板目でも木目の表情が全然違います。使う場所によって表情を楽しむ・・・それがスギのおもしろさかもしれません。

様々な表情を持つ「節」

木に節があるのは普通です。節は枝の痕跡だからです。節は様々な表情を持っています。
「生節」=枝が生きたまま幹に包み込まれたもので、枝の部分と幹の部分がつながっています。だから柱や板にしたとき節が抜けることはありません。
「死節」=枝が何かの理由で枯れてしまいそのまま幹の中に包み込まれてしまい、枝の部分と幹の部分はつながっていないため、節が周りの部分と区切られてしまいます。そのため死節は「節穴」になる可能性が高いものです。
「丸節」=板目面に現れる節は形が円形のものです。
「流れ節」=柾目面に現れる節は傾斜して細長くなっているものです。
「無節」=節がないもので値段も高く珍重されます。

脱脂乾燥でねじれやヤニを克服

どこにでもある手頃な素材として用いられてきたマツですが、マツクイムシなどの虫害は大きく、被害が及ばなかったのは高度の高い地域などです。生長が早いカラマツは、将来の建築用材として、戦後に大規模な造林が行なわれました。長野県の山林の半分を占めると言われ、伐採期を迎えた木が豊富にそろい、アカマツよりも入手がしやすく価格も割安になりました。また、マツ材が敬遠されたねじれや割れ、ヤニといった問題も脱脂乾燥技術の開発により克服され、フローリング材などの内装材も商品化されています。アカマツは特にヤニを含み、昔から手の触れる柱には用いず、手の届かない梁などに利用されてきました。かたくて、ねじれる癖がありますが、強度があり、丸太梁として古民家などに使われているのをよく見かけます。最近では角材に加工した梁や2mに切って本実加工したフローリングもあり、カラマツ同様人工的にヤニを抜く脱脂乾燥が行なわれています。北海道の主要樹種エゾマツは、白くて目の詰んだ素直な木肌が好まれ、主に道内で用いられてきました。やわらかめな材で白蟻には弱いので、内装材や下地材に使われています。

湿気に強く、耐久性はヒノキ以上

ヒバといえば、天然林の青森ヒバが有名ですが、これは北海道から東北地方に見られるヒノキアスナロという日本特産の樹種に当り、能登地方で植林されているアテと同種です。そして、もうひとつヒバと称されるのが、本州から九州にかけて見られるアスナロで、建築材に使用されるのはヒノキアスナロの方です。東京方面で手に入るのは青森ヒバが多く、完済では能登ヒバ(能登アテ)が多いようです。ヒバの特徴は、第一に虫や木材腐食に強いことです。昔から「ヒバ普請の家には蚊が3年は寄り付かない」と言われ、特に白蟻に対する強さは他の樹種には見られないほどです。これは防蟻に有効な成分を含んでいるためです。ヒバは殺菌性のあるヒノキチオールという成分の含有量が多く、腐りにくく、耐水性があって湿気にも強いです。強度もヒノキと同等でその特性から土台や柱、軒廻り、浴室、濡れ縁、ベランダなどに用いられます。また、特有の強い香りがあります。ヒバの価格はヒノキとほぼ同額です。能登ヒバのうち、クサアテと呼ばれる素直な材は柱やフローリングに、樹液を含む重いカナアテと呼ばれる材は土台に利用されています。

加工性にも優れた、優しい木肌

「ヒノキよりさわやか」つまり、さっぱりしているということから名がついたともいわれるサワラ。ヒノキによく似た樹種ですが、生育地は本州の中部地方が中心です。人工造林も行なわれているものの伐採量に限りがあります。サワラの芯材は赤みがかった黄色で、辺材に近くなるとピンク色になってきます。芯材の色は樹齢によっても違い、若木のうちはやや軽い感じのピンク色で、樹齢を経ると黄色みをおびてきます。年輪の詰んだ存在感のある黄色です。水や湿気に強いことが特徴とされ、また、通直にきれいに割れる性質を利用して、水切れの良さを求められる外壁材など用いられます。特に天然木は耐久性に優れ、目が詰まった材で浴室や浴槽、樽、桶などもつくられています。節の少ない材も多く、加工がしやすいことから造作材にも向いています。また、見た目に素直な表情と、ヒノキとスギの中間といった足ざわりの良さがフローリング材としても好まれています。ヒノキより赤みが強いサワラは、スギ普請の家に合うようです。価格はヒノキより手頃でしたが、近年では控えめな表情や、やわらかな香りが人気を呼び、人工林が少ないために希少になってきました。

健康には木の家が一番

島根大学が木材学会で発表した興味深い結果。
木造住宅とコンクリート住宅の比較対象調査で、木造率の高い地域ほど平均寿命が長い。また肺がん、食道がん、肝臓がん、子宮がんによる死亡率が低下するという傾向がある。
静岡大学が行った木質空間の居住性の良さを証明したマウス実験。
実験に用いた箱は5種類で床、壁、天井が木製。床、壁、天井がコンクリート制。コンクリート合板貼り。同じ合板にウレタン系塗料で塗装し吸湿性をなくしたもの。それにクッションフロアー。実験はそれぞれに母マウスが仔を生み、発育する様子を調べたもので。木箱に比べ他の箱に比べ他の箱では虚弱又は死産の仔が生まれたり、妊婦中の母親の巣作り行動も劣悪だった。さらに乳仔の生存率の変化にも同様の結果がでた。
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